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2005年3月 7日 (月)

アルゲリッチ・ラビノヴィッチのデュオ

最近近くの図書館でCDを借りてくることが多くなった。宇都宮の市立図書館は音楽関係が充実しており、特にクラシック、ジャズ、民俗音楽などのジャンルではかなりマイナーなものまで揃えており、相当使える。
こういうのは地元のCD屋さんなどの営業妨害になってるんじゃないかって心配になるくらい。もっとも僕は必要なCDはほとんどすべてAMAZONで購入しているから、関係ないか。
そんなわけで、二週間に10枚ずつ、妻と二人で図書館に行って借りてくるのが習慣になった。そのなかで良かったものだけ購入している。
今回紹介するのは、そうしたCDの中でももっとも感動したもの。

アルゲリッチとラビノヴィッチのピアノ・デュオでブラームスのハイドン変奏曲、ピアノ五重奏曲、そしてワルツ集の本人による二台ピアノ編曲版

たとえばハイドン変奏曲はたぶんオーケストラ版が完成版と言ってよいのだが、持っているバーンスタインのものでの印象ではとても穏やかで幸せな曲、という印象だった。五重奏曲は、グールドのものを持っているのだが、それは厳しい切り詰められた印象だった(ラジオ放送録音という音質の問題もあると思う)。

それがこのアルゲリッチ組の演奏ではまったく違って聴こえた。アルゲリッチの演奏は例によってとても情熱的なのだが、これは二人の心の通い合うインタープレイから音楽の喜びと愛情とがびしびしと伝わってくる感じだった。彼女のデュオは、クレーメルやマイスキーといった別楽器とのものや、フレイレとのピアノ・デュオなど様々なものを聴いてきたが、ここまで熱いほとばしりを聴いたのははじめて。

もっとも、これを聴きながら読んでいた槇村さとるの「おいしい関係」との相乗効果も大きかったかもしれない。あまりに感動して胸がつまりそうになっていた。

彼らの演奏には、そこかしこにちょっとしたほころびはあった。しかしそういった瑕疵がむしろ魅力に通じているように感じた。そういう演奏を聴くと、完璧であるがゆえに退屈な演奏というものもあるのではないか、と思ってしまう。

たとえば先日、とちぎ舞台芸術アカデミー2004ピアノコンクール入賞者演奏会というものを無料なので妻と聴きに行った。前半は小学生から高校生の、全国のピアノコンクールで優秀な成績を収めた栃木県出身の人たちの演奏だったのだが、なかなか興味深い演奏もあったし、ひどいものもあった。それはおいておいて、その後半だが、プロの女性ピアニストが招かれ、ショパンなどを弾いた。彼女は、国際コンクールなどでも多くの受賞歴を持ち、当日の演奏もとてもきちんとしたものではあった。そういう意味で、前半の学生さんたちとは一線を画するもので、プロとアマの間の広く深い距離を感じた。

にも関わらず、彼女の演奏がよかったかというと、まったく退屈なもので、途中何度も睡魔に襲われるくらいだった。自分でもよく弾く15番や遺作のノクターンなど大好きな曲や、四楽章で大きく盛り上がるピアノソナタ三番などにしてもBGMという以上の何も感じなかった。舞台正面のピアノからとても近い席で聴いていたにもかかわらずそうだった。その日一番最初に弾いた小学校低学年の女の子の演奏のほうがよっぽど訴えるものがあった。

まわりのお客さんはそこそこ満足していたようだから、こういうのはたまたま僕の感受性に合わなかったというだけなのかもしれない。だけれど、少なくとも前半の学生たちと彼女の演奏の最大の違いは演奏の完全さであったのは間違いなく、また彼女がそうした域に達するまでに人並みならぬ努力を続けてきたのもきっと間違いのないことで、僕にはどうしてもそれが才能の浪費に思えてならなかった。音楽ってそういうもんじゃないだろう!

僕の我田引水な自己肯定に過ぎないのかもしれないけど、そう自分で反省してもなお、しばしばいろいろな場面で感じざるを得ないことである。

神谷郁代のインタビューについての話はまたそのうち続きを書くが、前述の図書館で探すことのできた彼女の演奏は、NHKの名曲アルバムのシリーズのなかにあった。名曲アルバムの音楽はテレビの画面とともにBGMとして使われるものであるから、だからたまたまそういう演奏になったのかもしれないが、やはり上記のピアニスト同様、完璧で退屈な内容だった。

 

 

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