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2005年11月17日 (木)

みなさん、さようなら

 ひさしぶりにじんわり良い映画だった。

 テーマは伊丹の「大病人」などと一緒で、「自分ならこう死にたい」というのが基本線。そういうあまりに人類共通のテーマなだけに、一歩間違うと低俗なお涙頂戴か、説教くさいモラリスト的な内容になるところを、インテリの諧謔的笑いで上手に包み込んでいるのが見事。

 登場人物はみんな魅力的なんだけど、一番良かったのはやっぱり息子かなあ。
 これも「今までは対立していたが、死に行く父のために、最後の親孝行をする」というそれだけ聞いたらいかにも低俗なお涙頂戴になるところを、<無口で、一般的なモラルを気にしない、過激な行動力のある冷酷非情なビジネスマン>という枠をはめることによって、エスプリあふれる笑いに持っていっているところが素晴らしい。プーチンを思い出させるような、そんなキャラがマフィアのようにたんたんと札束を積んで、父の入院先の環境をあちこちから手を回してよくしていく。
 ふつう、そういうプーチン的キャラを作ると、どこかでその冷たいスマイルの壁を壊し感情をあふれさせることで、そのギャップで物語を見せようという安易な路線に走るものだが、彼は最後の最後までほとんどそのまま。だからこそ、微妙な揺れがふっと走るだけで、すごく印象的になる。

 こういう「ずらし方」は、井上陽水なんかと近いものがあるかもしれない。

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