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2006年11月27日 (月)

エルミタージュ展、ベルギー美術館展、浜松国際ピアノコンクール、楽器博物館

週末は上野で美術館をはしごして、浜松国際ピアノコンクール本選、六名の演奏を二日間で堪能した。

上野では東京都美術館の大エルミタージュ美術館展と、西洋美術館の王立ベルギー美術館展。

前者が期待はずれだったので、口直しに見たベルギー美術館展が大当たりだった。

エルミタージュのほうは、こぶりな作品が中心で一つ一つのインパクトに欠けた。作品群もひとつひとつ全くばらばらでテーマ性も薄く、ほとんど印象が残らない。

ベルギー美術館展のほうは対照的に、大きいものから小さいものまでそれぞれとても個性的で魅力的な作品が並び、かつそれらを括る「ベルギー美術」というテーマ性もはっきりしていて充実感があった。今回特に面白かったのがアンソール。

午後からは浜松へ。浜松の駅前は開放感があり、宇都宮駅前の醜さを思い出して悲しくなった。再開発の結果なのだろうが、駅の北・南どちらもそれぞれにきちんと機能を果たしている様はなかなかのもの。もっともここは、ヤマハ、カワイ、ローランドといった日本の楽器産業の中心であるのみならず、スズキの本拠地でかつ、ホンダの出発点でもある。それだけの力があるのは当然なのかもしれない。浜松市民の誇りも相当なものだろう。夜ホテルで読んだ、浜松市の広報誌も充実していた。これだけ読ませる広報誌を作れる市もなかなかないのではないか。

さて、肝心のコンクールだが、初日、最初の演奏者ワン・チュンのラフマニノフ二番が特に素晴らしかった。一楽章途中からとても熱い情熱的な演奏を聞かせてくれ、聴いているだけで涙が止まらなくなるくらい。二番目のゴルラッチが弾いたベートーヴェンの三番は、嫌いな曲なので評価は難しいが、演奏自体には好感が持てた。カデンツァも華やか。キム・テヒョンのラフマニノフ三番は、正直退屈だったが、細かいパッセージを明瞭にきちんと弾ききっているところはさすが。

二日目、クズネツォフのプロコは退屈で眠気が収まらなかった。余裕で弾きすぎていて、面白みがまるでない。北村のラヴェルは、オケと全く合わず、演奏は崩壊していた。指揮者の沼尻竜典氏が、北村がとろうとしているテンポに全くすりよらず、自分のテンポを押し通そうとした結果のようだ。オケのほうでも、管がジャズ的なリズムにのることができずに、みっともないことになっていた。最後サラトフスキーは、キムと同じラフマニノフ三番を弾いたのだが、オケを聞く余裕がないようで一人突っ走っているように聞こえた。ただしそのぶん熱い演奏であり、聞いていて楽しかった。もっともオケと合わなかった原因のいったんはやはり指揮者にもあるように思う。

というわけで、一番最初の演奏が一番素晴らしく、それを聴けただけでも行ったかいがあった。このようなコンクールを見にいくのははじめてのことだが、やはり演奏者にかかるプレッシャーも一般のコンサートとは比較にならないだろうし、そうした緊張感もまた新鮮だった。

なお二日目の午前中は三時間もかけて、楽器博物館を堪能しきった。これまで本などで知識として知っていただけの、進化途上における様々なピアノの打鍵から発音までのメカニズムを、本物そのままのモデルで見ることができたのは大きな収穫だった。また、ここに収められた膨大な楽器のコレクションそれぞれに直接触れることができるわけではないが、それらのうちのかなりのものについては、演奏を録音したものをヘッドホンで聞くことができるので、それぞれの「楽器らしさ」を深く体感することができた。これは単に見るだけとは印象が全く違いとてもよい試みだと感じた。これからの博物館には、展示物を「見せるだけ」ではなく、それが実際にどのように使われているのか、映像や音声などで表現することを期待したい。

2006年11月22日 (水)

ヌオヴォ・シネマ・パラディーソ

久しぶりに見たこの作品。今回見たのは完全版ですが、やっぱりはじめてみた2時間版のほうが好きですね。

それにしても、こういう作品を監督は取りたかったのに、それを編集して全然違う話にしながら、しかもそれが元の作品よりも素晴らしいというのは何とも驚くべきことです。

構造主義の構造とか、ゲシュタルト知覚を説明するときによく使う「うさぎ=あひる」絵みたいに、全体が変わると部分の意味がすっかり変わってしまうのがすごい。

それにしても、編集の作業の大切さを思い知らされますね。他の作品も完全版っていろいろ見ましたが、どれも編集後のほうが良かったです。自分の思い入れよりも、他の人に見てもらうことが大切ってことですね。

論文を書いているときにもいつもこの作品のことが思い浮かびます。指導教官が言っていた「僕は倍の分量書いてから、切っていって半分に減らすことが多い」という言葉とともに。

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